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【映画の話】人数の町【ネタバレあり】

 

今回の映画はこちら!!

 

 

【人数の町】

出演:中村倫也、石橋静河、立花恵理、草野イニ、柳英里紗、山中聡ほか

 

 

 

以下ネタバレあり

 

 

【ざっくりストーリー】

人生にしくじった人が集まる不思議な街の話

 

 

【感想】

 

 

簡単な労働をするだけで衣食住は保証され、町の外にもお出かけもできる不思議な街。

その代わり自分の「個」や「アイデンティティー」が奪われて大人数の塊にされてしまうけど、

言われた通りのことをやっていればご褒美がもらえる素敵な街。

住人同士の艶やかな交流も自由な没個性の街。

 

「人数」となった人間がすること(させられること)は、選挙で特定の人物に投票したり、

店のサクラをしたり、ネットの悪評・好評を操作したり。

作為的に仕込まれた意思のない人間でも数が集まれば世論が生まれる恐ろしい世界です。

 

 

主人公の蒼山をはじめ街に集まる人は、外の世界でしくじったり疲れ切ったりして逃げてきた人が大半でしょう。

 

行方不明になった妹を探すため街へやって来た紅子のように、

目的と意思を持ってやってくる人はほとんどいないのではないでしょうか。

紅子みたいに街に入る前にじっくり契約書を読んでいた人は多分いなかったと思います。

 

 

チューターはいますが基本的に説明がないですよね、この街。

蒼山は街の挨拶も知らず、食べ物の獲得方法も知らず、

街のルール自体知らずに数日過ごしていたようですし。

パーカーを着ろ、バイブルを読め、くらいしか指示がなかったように思います。

(契約書を読まないような人がバイブルをちゃんと読むのかどうか。)

 

 

なんだかんだで街を逃げ出した出た紅子と蒼山は戸籍のないまま生きていきますが、

聡い紅子は気づいていたのではないかと思います、蒼山の選んだ答えに。

 

見終わった後の後味がほろ苦です。

 

 

ジャンル:サスペンス

公開: 2020年

監督:荒木伸二

脚本:荒木伸二

受賞: 第42回ヨコハマ映画祭 撮影賞