【子供はわかってあげない】
出演:上白石萌歌、細田佳央太、千葉雄大、古舘寛治、、斉藤由貴、豊川悦司ほか
以下ネタバレあり
【ざっくりストーリー】
マイペースな少女のひと夏の小さな冒険
【感想】
登場人物それぞれが1本の映画になりそうなドラマチックなキャラクターばかりなのに、
あくまで彼らは脇役で、主人公は超マイペースな女子高生、美波。
大笑いというより、くすっと笑える場面の連続でとても心地良い時間が続きます。
美波と書道部の門司君が同じアニメの話題で盛り上がらなかったら門司君の家に行くこともなかったし、
門司君の家に行かなければ新興宗教のお札を見つけることはなかったし、
お札を見つけなければ探偵に依頼することもなかったし、
探偵に依頼しなければ実父に会いに行かなかったし、
実父に会いに行かなければ帰宅後に母とのあの涙はなかった。
全てがずっとつながっているからひとつも無駄にしたくないと思ってしまいます。
ファスト映画だったら確実にカットされる、
それぞれの何気ない日常会話のシーンに大切なパーツが潜んでいて
会話のひとつひとつを丁寧に、大切に描いています。
人の頭の中が見える能力を持つ父とか、手術して性別を変えた兄とか、
霊験あらたかなお札のゴーストライターをしていた書道家とか
母と新しい父との間に生まれた弟とかとか
学内ではぶっちぎりで強い先輩が大会に出るとぶっちぎりで弱いとか、とか。
シリアスで真剣な場面になれば笑ってしまうマイペースな美波のように
辛い境遇の中にも悲劇にならず、優しいユーモアがあふれています。
ラストの門司君との甘酸っぱいエピソードはフレッシュさの塊です。
「もじくん」を書いたプールサイドから、
初めて門司君を見つけた時と同じ屋上までの階段ダッシュ。
青春の熱量に圧倒されます。
監督:沖田修一
脚本:ふじきみつ彦、沖田修一
公開 2021年